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コンサルティング依頼時の注意点と成功の秘訣②|工務店のコンサルティング失敗例から学ぶポイントとは?

コンサルティング依頼時の注意点と成功の秘訣②|工務店のコンサルティング失敗例から学ぶポイントとは?

この前の記事では、コンサルティング導入に関するごく一般的な事項について説明いたしました。今回はその続きとして、実際に取り組んだものの「なかなかうまく進まなかったな」と感じた事例と成功させるためのポイントについてお伝えします。

1.うまく進まなかった(反省)事例

コンサルティングを導入することで企業の成長や業務改善を実現できる一方で、「思うような成果が出なかった」「逆に負担が増えてしまった」など、実際にはうまくいかないケースもあります。ここでは、コンサルティングを依頼するときの失敗事例について、コンサルティングをする立場から「うまく進まなかったな」と感じた事例を紹介します。ある意味自分の失敗例になる訳ですが、視点を変えて考えてみると良いと思いますので、これらも是非参考にしてみてください。

なおこの記事を読む前に「コンサルティング依頼時の注意点と成功の秘訣①|導入時に考えるべきポイントとは?]を先にお読みください。

【コンサルティング依頼時の注意点と成功の秘訣①|導入時に考えるべきポイントとは?】

①目的が曖昧な失敗:「とりあえず改善したい」では長続きしない

「現場をもっときれいにしたい」と考える工務店は多いです。ある工務では、これまで社内では何度も「整理整頓を徹底しよう」「清掃を徹底しよう」と声をかけてきたものの、なかなかうまく進みません。そこで、外部の専門家の力を借りれば、何か変わるのではないかと考えコンサルティングを依頼しました。

コンサルティングが始まり、まずは「どのような状態が理想なのか」を明確にし、「誰が見てもきれいな現場」「必要な道具がすぐに見つかる状態」などの改善の取り組んだところ、現場は見違えるほどきれいになりました。しかしコンサルの指導が終わり、日常業務が再開されると、次第に元の状態に戻り始めました。道具が元の場所に戻されなくなり、清掃も「時間があればやる」という程度になっていきました。

「現場をきれいにする」という目標自体は悪くなかったのですが、その先にあるべき「なぜきれいにするのか」「どうすれば継続できるのか」という本質的な部分が曖昧なままだったことが、最大の問題でした。

現場をきれいにすることは手段であり、本来の目的は「安全性を向上させること」「作業効率を高めること」「社員の意識を変えること」「お客様に信頼を得ること」などですが、経営者も現場の社員も「きれいにすること」自体を目的にしてしまっていたため、忙しい、余計な仕事が増えたというような感覚となり長続きしなかったということです。

これは自社改善でも同じことです。目的なのか手段なのか、ここをまずは明確にしてスタートしましょう。
 

②実行ができない失敗:「現場をきれいにしたい」だけではなく業務改善まで必要

何故おこなうのかを理解していたとしても、継続させるためには別途必要なことがあります。誰でもやる気だけで物事を長続きさせることはできません。そこには、継続できるルールや仕組みが必要になってきます。

例えば、次のようなやり取りがありませんか?

社長:他社でこんな現場を視てきたんだ(写真等を見せて)
社員:なぜこのようなことをするんですかね?
社長:これからは競争が激しくなるから、お客様から紹介もいただきたい
   それにはこのような活動が必要なんだ
社員:できればいいですけどね
社長:とりあえずやってみようよ!

その後

社長:現場がなかなかきれいにならないね
社員:忙しくて、現場きれい活動をおこなう余裕がないです
社長:・・・・・


以前は現場改善を中心におこなっていたころに実際にあったことです。せっかく現場きれいという形が出来たにも関わらず、いつの間にかこのように戻っていた理由を聞くと、このようなパターンでした。

これは仕事のやり方を見直すことが必要であり、現場きれい活動はプラスαの事ではなく、業務の一環として捉えることが出来るようにすることです。言い換えると「業務改善」ということです。ここについては、多くの工務店が理解しているようで理解していない部分です。例えば「現場をきれいにしよう」というテーマに取り組むには、以下のようなことが出てきます。

◆現場をきれいにしよう
 ・きれいというレベルがどのぐらいかの共通認識を持つ
 ・きれいにするためのルールを決める

◆継続するために
 ・きれいを継続するためのチェック方法を決める
 ・誰が、いつ、どのようにチェックするのかの役割分担を決める
 ・社員、職人も含めた意識改革

特に「誰が、いつ、どのように」という部分については、それが機能する仕組みをつくっておかないと、個々が好き勝手な方法でおこなうようになります。そしてそれが、これまでの業務にプラスされたという感覚となり、忙しいという理由で疎かになっていくのです。おそらく、自社で改善するときには、このパターンによく嵌っているようです。


現場をきれいにするには、業務フローと一体化したルールをつくり、日々のチェックと是正を仕組み化することが不可欠なのです。
 

③経営者が理解できていないことによる失敗:コンサルティングをおこなう方向性について肚落ちしていない

ある工務店では、現場きれい活動や業務改善を進め一段落したので、しばらくは自社で取り組んでいただいていました。久しぶりに様子を聞いてみたところ、あまり進んでおらず現場もだんだん疎かになっているとのこと。そしてその理由を聞くと、意外な事実が浮かび上がりました。

現場きれい活動には、お客様に喜んでいただき信頼していただき、そして紹介を頂くことも大きな目的となるのですが、実は社長自身が「紹介による受注」をあまり好んでいなかったということでした。過去に紹介された案件でトラブルがあった経験から、紹介に対してどこか消極的で「紹介が増えたらいい」という考えに本心では賛同していなかったということでした。

当初は「紹介を増やそう」と社内にも宣言して取り組んでいましたが、心の奥でこのようなことを思っていたため、現場をきれいにすることにもどこか消極的になり、社員への指示も次第に弱くなっていったようです。最初は勢いよく始まった改善活動も、社長の熱意が感じられなくなると、社員たちも「そこまで頑張る必要はないのでは?」と考えるようになり、結局、整理整頓の取り組みは形骸化していっているようです。

この失敗の本質は、経営者自身が「なぜ現場をきれいにするのか」という目的に対して、本当に納得していなかったことにあります。どんなに立派な目標を掲げても、経営者が本心から賛同できていなければ、その温度感は自然と社員にも伝わります。結果として、形だけの取り組みになり、継続することができなくなるのです。

コンサルティングを成功させるためには、まず経営者自身がその方向性に肚落ちし、「なぜこの取り組みを行うのか」を深く理解することが不可欠です。表面的に納得したつもりで進めても、いずれどこかで歪みが生じます。比較的小規模な組織の場合、改善の継続には、経営者の本気度が何よりも重要なのです。
 

2.成功させるためのポイント

これまでお伝えした失敗事例をもとに、工務店が現場や業務改善としてコンサルティングを導入する場合、以下のようなポイントを理解して進めるのが良いです。

①社内での目的共有と協力体制の確立

コンサルティングを成功させるためには、経営陣だけでなく、現場の社員の協力が欠かせません。

失敗しやすい例
・経営者だけがコンサルタントとやり取りし、現場に伝えない
・現場社員が「また新しいことをやらされる」と反発する

成功のポイント
・コンサル導入の目的を社内にしっかり説明し、理解を得る
・現場のキーパーソンを巻き込み、意見を取り入れながら進める
・実施する施策の負担や影響を事前に検討し、スムーズに導入できるよう調整する


特に「現場改善」であれば、大工さんの協力を得ておくとスムーズに物事が運びます。実際にあった例として、大工さんがヘルメットを被らないことが習慣になっていたのですが、ヘルメットの必要性を説くと共に、キーとなる大工さんに説明し協力していただいたところ、「あの大工が言うなら従うか」というような流れになったことがありました。

コンサルティングは会社全体の取り組みです。社内だけではなく関連する方々の理解と協力を得ることで、実行力が高まり、成果が出やすくなります。
 

②継続できる仕組みづくりまでおこなう

何かを改善したいと考えた時、それの周りの改善にまで踏み込む必要が出てきます。事例で紹介した「現場をきれいにしたい」という目的に対しては、それが「継続できる体制=業務改善」まで必要になるというようなことです。

結局のところ、何事にもルールや仕組みが必要になります。「何もなく自由におこなっていいよ」と言われても成果を出す人は、ほんの一握りに過ぎません。ルールや仕組みが窮屈だと感じる人もいますが、お客様から見た時に、どのような状態が信頼を得られることなのか? を考えてみるとその必要性などが分かってきます。

個々の担当者が好き勝手おこなうよりも、会社として統一した対応の方がより信頼を得られることでしょう。このような事において、仕組みづくりとはとても大事な事なのです。 

③成果が出るまでには時間がかかることを覚悟する

コンサルティングの効果は、短期間で劇的に現れるものばかりではありません。「すぐに結果が出ない=失敗」ではなく、長期的に成果を見据える姿勢も大切です。

・1〜2ヶ月で結果が出ないからといって、すぐに契約を打ち切る
・施策の途中で方針を変えたり、やめたりしてしまう

おそらくコンサルティングを導入するとは、自社ではできないので依頼するということであり、そこまで結構な時間を掛けてきたことだと思われます。ではコンサルティングを導入したらすぐに効果があるのかというと、残念ながらそううまくはいきません。短期的な成果だけでなく、中長期的な効果を考慮する必要があるのです。

そのためにも、施策を継続しながら、社内で根付くように育てるという視点も重要になってきます。「コンサルがいなくても運用できる仕組み」をつくることを意識するのです。

特に業務改善や組織改革のような取り組みは、一定の時間をかけて成果を出していきながら、最終的には自社で改善の繰り返しができるようになるようにする、ということが成功のポイントとなります。
 

3.自立した組織づくりにはコーチングという手法も

現場の整理整頓や業務改善が定着しない背景には、単なる仕組みの問題だけでなく、「社員の主体性」が欠けているケースも多いです。よくあるのが「会社が判断したらおこないます」「こうしたらいいと思いますが、自分の役割ではないですから」といった主体性のない発言です。

これらはいくらルールを決め、改善策を導入しても、それを実行する社員たちが自らの意志で動かなければ、結局は形骸化してしまいます。では、どうすれば社員が自発的に取り組むようになるのでしょうか。

その手法の一つに「コーチング」があります。

コーチングは、単に指示や命令をするのではなく、社員一人ひとりが「なぜそれをやるのか」を自分自身で考え、納得し、自分ごととして行動に移せるように導くアプローチです。コーチングはを活用して「自立した組織づくり」を実現し、経営者が直接指示を出さなくても、現場は自発的に現場や業務改善を進めるようになります。

企業の成長には、単なるルールや仕組みづくりだけでなく、社員の意識を変えることが不可欠でです。そのために、コーチングを活用し、社員が自ら考え、行動できる環境を整えることが、「持続可能な組織づくりのカギ」となります。



コンサルタントはあくまで「助言者」であり、最終的に成功へと導くのは企業自身の姿勢と取り組みです。適切なコンサルタントを選び、主体的に活用することで、確実な成果を生み出しましょう。


なおコーチングについての記事を作成していますので、そちらもお読みください。

【工務店の自立する組織づくり:仕組みとコーチングで実現する持続的な成長】

【コーチングが組織成長に貢献する理由とは?社員の自発性を引き出すマネジメント手法】